ケーキにのっている代表的な果物といえば、いちご。お誕生日やクリスマスなどの楽しい行事のイメージもあり、子供たちも大好きです。甘くて実も柔らかいので小さいお子様でも安心して食べられます。いちごフェアーやいちご祭りと聞くと大人でもついウキウキしてしまいます!
また、いちごといえば、その甘さももちろんですが、綺麗な赤色がとてもかわいらしいです。今回はいちごが赤い理由や美味しいいちごの見分け方など分かりやすく紹介したいと思います。
いちごはどうして赤いの?
「赤色の理由はアントシアン」
いちごの赤い色は、アントシアンという色素によるものです。成長途中のいちごは、葉と同じ緑色 をしています。葉と同じ葉緑素という色素があるからです。やがて大きくなり、熟 して甘くなってくると、葉緑素がこわれて、色が抜けて白くなります。その後、太陽の光 があたる所から、アントシアンができて、赤い色がついてきます。そのため葉のかげになった実は、なかなか赤くなりません。
「でもどうして赤色なの?」
いちごが赤く目立つ色をしているのは、動物に見つけて食べてもらうためです。実はいちごの赤い部分は、本当の実(種)ではありません。いちごの表面にある小さな粒々、これが本当の実(種)です。種は、硬い皮に包まれていて動物が食べても消化できずそのまま糞と一緒に出てきます。そうやって動物に種まきをしてもらい、子孫を増やそうとしているのです。
だからまだ種が熟していないうちは、動物たちに食べられないように緑や白い色をしています。また、もし食べられても赤くないうちはすっぱいので、全部食べられてしまうことはないでしょう。
いちごを買ったあとでも赤くできる?
いちごの季節にはたくさんの品種が店頭に並び、どれを選べば良いか迷ってしまいます。色が赤く鮮やかなものほどつい選んでしまいますね。でも本当に赤いいちごの方がより甘いのでしょうか?美味しいいちごを見分けるために、いちごの色と甘さの関係について考えてみましょう。
「いちごの赤さと甘さは比例する?」
いちごはとがった先の方ほど甘いのはご存じですか?いちごは先の方からヘタの方に向って色づきます。熟していく過程で赤くなり、それと共に甘くなり始めるので、白い部分より赤い部分の方が甘くなります。
色づきが進むと甘さは強まっているわけですが、赤さと甘さが一緒に進むのであれば、どの部位も色づいた後は甘さが同じになって良いはずです。しかし、全体が同じ赤色になってもまだ先の方が甘いのです。
実はスーパーで売られているいちごは全体が色づく前に収穫されて出荷され、店頭に並ぶ頃に鮮やかな赤色になります。つまり収穫されたときにはまだヘタの近くはまだ白い状態なのです。この時、赤く熟した先の部分は、ヘタの近くの白い部分より甘くなっています。
いちごは株から切り離された時点でそれ以上、糖は増えることはありません。しかし色づきだけは進みます。そのため店頭に並ぶ頃には白かった部分は鮮やかな赤になっていても、色づきだけ進んで、糖は増えていないので、食べてみると甘みが足りなかったりすることになるのです。
「買ったいちごを甘くする方法は?」
いちごの赤さが直接甘さに繋がっているわけではないと分かりましたが、でもせっかくならより甘いものが食べたいですね。買ってきたいちごを甘くする方法はあるのでしょうか?
キウイフルーツやバナナなどは、買ってきてしばらく家に置いておいてから食べると追熟してより甘く食べられます。いちごは、色は収穫後もどんどん赤くなっていくので、「追熟している」と勘違いして、買ってしばらく置いてから食べる方も多いです。
買った後のいちごを赤くする方法は残念ながらありません。むしろ収穫後1日ごとに糖度が1~2度落ちていきます。
このようにいちごには追熟がなく、いくら待っても甘くはならないのです。しかし、より赤くなり見た目はよくなるので、お菓子作りなど見栄えを重視する場合には少し置いておくのもがいいかもしれません。
「美味しいいちごの見分けかたは?」
買ってから甘くする方法がないので、買うときにはできるだけ甘いものを選んで買いましょう。まず、甘いいちごを食べたい場合はとにかく鮮度が大切!ヘタがピーンとみずみずしいものを選びましょう。なるべく新鮮なものを選ぶと、甘い確率が高くなります。
また、いちごはより大きいほど糖度が高い傾向にあります。品種にもよるので絶対ではないですが、綺麗な三角形ではないゴツゴツした形のいちごは、より甘い可能性が高いためおすすめです。
更に、より美味しく食べるためには、いちごは冷蔵庫で3時間以上冷やし、その後10分ほど室温で温度を戻すと良いそうですよ!
白いいちごはなんで白いの?
さてここまで赤いいちごについて紹介してきましたが、白いいちごも販売されているのをご存じでしょうか?初めて店頭に並んでいるのを見た人は、熟していないいちごかと思って驚くかもしれませんね。白いいちごはあまり一般のスーパーでは売られておらず、主に赤いいちごとセットで贈られる贈答用として販売されています。そのため目にする機会は少ないかもしれません。
「なぜ白いいちごは白いの?」
いちごは太陽の光 があたる所からアントシアンができて赤い色がついてくると紹介しました。では白いちごの場合は日陰で育てているのかというと、そうではありません。白いちごが白いのは、遺伝子的な要因で光が当たってもアントシアニンができない、もしくはできにくいからです。
品種改良中の突然変異で、アントシアニンができない白いちごが生まれたといわれています。日本で最初に誕生した白いちごは、山梨県の種苗会社ミヨシアグリテックの「初恋の香り」。この初恋の香りがブームになったことで、全国各地で白いちごの品種改良が進みました。そのおかげで、最近では様々な品種の白いいちごがあります。
「白いいちごはどうやって育てるの?」
白いちごの育て方は、普通の赤いいちごと同じです。白いちごの品種改良に主に使われているのは「交雑育種法」という昔ながらの方法です。数万株を育てて、美味しいいちごが採れる株を探し、より良い株を掛け合わせることを繰り返して、理想のいちごが採れるまで数十年間続けるそうです。大変な努力ですね。
「白と赤どっちが美味しい?」
白いちごは赤いいちごの2倍くらいの値段で売られています。そのため、白いほうが甘いのかと期待してしまいますが、実は赤いものと味はさほど変わりません。値段が高いのは美味さではなく、見た目の珍しさが理由です。味にはあまり違いはありませんが、白いちごの多くの品種は香りに特徴があります。桃とかパイナップルに近い甘い香りがするそうです。
いちごの栄養成分は?冷凍しても栄養価はかわらない?
甘くて美味しいいちごは、体にも良いので朝食やおやつに積極的に取り入れたいですね。
「どんな栄養が含まれているの?」
いちごの可食部100gあたりの成分は34kcal。いちご1パックはだいたい300g位なので、1パックだと約100kcalほどですね。いちごの赤い色素成分であるアントシアニンはポリフェノールの一種で、視力回復やがん予防にも効果があるといわれています。
また、ビタミンCを多く含んでいるので、風邪の予防や疲労の回復、肌荒れなどに効果があります。品種にもよりますが、100g当たりの平均的なビタミンC含有量は54mgから多いもので87mg。7粒程食べれば一日に必要とされる量が補えるとされています。
「栄養価を保つ冷凍いちごの保存方法」
ビタミンCに関しては、野菜や果物の栄養価は冷凍した場合の方が、生のものよりも比較的高いことがわかっています。これは、新鮮なうちに冷凍保存することによって、食品のビタミンCの量が、採りたての時の状態のまま保たれることが理由です。そのため、すぐに食べないのであれば、新鮮ないちごほど冷凍保存がオススメです!
まず洗う時にはヘタは取らずに丸ごと洗いましょう。水で洗いザルにあげ、その後にヘタをとります。これは、ヘタの部分からビタミンCが流出するのを防ぐためです。そのあとキッチンペーパーで水分を拭き取り、いちごがくっつかないように間隔を開けて並べ、完全に凍ったら、取り出して袋に入れて保存します。保存期限はなんと約12カ月!でも完全解凍されたフルーツはどうしても水っぽくなってしまうので、凍ったままか半解凍の状態で食べるのが良いでしょう。冷凍いちごはヨーグルトや牛乳といっしょにミキサーにかけ、スムージーにするのが美味しい食べ方の一つです。
まとめ
白いいちごは昔は高級贈答品でしたが、今ではスーパーでも購入できるようです。一度は食べてみたいですね。
いちごをどこから食べるかは人によって意見が分かれるところです。先の方は葉の近くに比べて本当に甘くて美味しいので、試したことのない方は実際に食べ比べてみると驚くと思います。お手頃な価格で購入できる時期に、大きさや色味の違ういちごを買ってきて食べ比べしてみるのも楽しそうです。